私地獄

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退屈な毎日を過ごしたい

7/7(土)に初めてのエッセイ『女を忘れるといいぞ』が発売されてから5日が経過しました。

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担当編集者から「前日には書店に並び始めると思います」と言われ、6日と8日に色々な書店を回り、7店舗目でようやく発見。
もっと、こう、初恋の人との再会みたいな、行き別れた娘とたまたま街中ですれ違ったみたいな、そういう感じなのかな、と思いきや、ほんの少しだけドキッとして「並んでる」「平積みだ」「女性エッセイコーナーにあるから周りの本がほとんどピンクだ……」「本当にあったんだ」などと思うだけで終わり。特に何かロマンチックことが起こることもなく、写真を撮るわけにもいかず、普通に見に行き、普通に帰る。
ちなみに私が自分の本を見つけたのは渋谷の紀伊国屋でした。ありがとう、紀伊国屋……今度ポイントカードを作ります。

それで、予想以上にたくさんの方から感想をいただいていて、嬉しいような恥ずかしいようななんだか変な気持ち。この本に納めてある原稿を書くにあたって、かっこつけたり着飾っても仕方ないよね、という感覚が私のなかにはあって。まあ、もともと何かロマンチックなことを言ったり、人に最適なアドバイスができるような人間ではないんだけど。
恥ずかしいこと、人に言えなかったこと、昔の自分を振り返ってみて今だからことわかったこととか、なるべく隠さずに書いたつもりです。本にも書いたし、Twitterやブログなど色々なところでも発言をしてきましたが、私はお酒がないと人と話ができないタイプの人見知りで、さらに一緒にいるときに「つまらない」と思われるのが嫌なので、なんとか盛り上げようとしてしまうんですよね。だから、あんまり自分が普段どんなことを考えているかとか本心とか、何を思っているのかを人に言う機会があまりない。まあ、なくていいんだけど。
なんだか自分の内側を見られてしまったような気がしてこそばゆい。「私のことを知っている友達に読まれるか、裸を見られるか、どちらかを選べ」と言われたら、迷わず裸を選ぶくらい。だから、友達には誰一人として本を渡しておらず、家には同じタイトルの本が一か所に山積みになっている。どうしよう。担当編集者には「あ、でもブックオフには売らないでくださいね」と、くぎを刺されている。

■Knock

今回の仕事に関係のない友達には1冊も渡すつもりはなかった……んだけど、唯一ジンカーズの馬場さんにはなぜか渡してしまった。6日にいきなり「日曜に単独ライブやるから暇なら来なよ。差し入れは本でいいよ」ということで、8日はもともと渋谷辺りにいく予定だったし、お言葉に甘えて見に行く。
馬場さんとはSyrup16gナイトというオールナイトイベントでたまたま一緒にDJをやることになって、そこからライブでよく会うようになった。別に待ち合わせをしているワケでもないけど、絶対にいるし、なぜか会える。開場がZepp Tokyoのときもなぜかばったり遭遇した。ああ、そうか。馬場さんも、私が文章を書いていなかったら会えなかった人だ。
この日も出囃子がdownyunkieVOLA&THE ORIENTAL MACHINEと、青木裕祭だった。多分、この出囃子のコンセプトがわかる人は私と銀杏ボーイズのTシャツを着ていた彼だけだと思うし、それがめちゃくちゃシュールで面白かった。コントの合間に「どんな音楽聴くの?」「ジム・オルーク」というやり取りも、多分面白かったのはごく一部の人間だ、バッカじゃないの!と思いながら見ていた。
ジンカーズを見に行くのは2度目なのだけれど、いつも馬場さんはステージ上で楽しそうに顔をクシャクシャにしながら笑っていて、お笑いが好きなんだな~と思う。前回よりも面白かった。

■いつもひとり

9日は自分のトークイベント。SPARK!!SOUND!!SHOW!!のチヨがゲスト。スサシはみんな友達なんだけど、出会いはフジロックROOKIE A GO-GOで私がライブレポを書くことになったからだった。こちらも私が文章を書いていなければ出会えなかった人たち。ほんと、ちょっと仕事で一緒になるとかちょっと紹介してもらっただけなのに、未だに友達だったり一緒に飲んだりするんだから不思議だよね。そういう、よくわからない出会いが異様に多い。
今年もフジロックでライブレポートを書くことになっていて、今までのことを振り返りながら好きな音楽について語りました。ほとんど酔っぱらってたんだけど……。
チヨからは「そういえば、フジで会うときいつもひとりだもんね!」と言われ、そう。確かにそう。大体ひとり。でも少しショックだった……。今年も多分、ひとり……。
私の所属する団体は、まあみんな知り合いだし、ほぼ年上なのでめちゃくちゃかわいがってもらえているんだけれど、どうしても馴染めない。いいんだ、もう。わかっているんだ。私は団体行動が苦手なことは。もはや開き直っている。ひとりで色々な人のところをフラフラしているのは、学生時代から変わらないのだ……。
今回来てくれたお客さん、ほとんど私の本を事前に購入してくれていたようで、感想を言ってくれたり色々な話ができたりして、嬉しかった……。多分私は気難しいし偏屈な人間だとおもうんですけど、こうして実際に感想を聞けたり、わざわざ遠くから私の話を聞きにイベントに来てくれるのは、感謝しかねえ!という気持ち……。
次は9/3(月)に新宿LOFT Plus Oneにて。こちらは今回出した本についての話をするので、よろしければお越しください。キャパ、150とかで……埋まるのかな。相変わらず、ゲストなどは決まっていない。

■緩やかな死

火曜日は休憩。水曜日は、『ガザの美容室』を見に渋谷アップリンクまで。アップリンク、というか映画館はもの凄く好き。シーンとしている感じが。
ガザの美容室』は、85分もの間、美容室という密室でのさまざまな問題を抱えた女性がずっと話をしているだけで終わっていく映画。今回は、本編のあとに監督のインタビューがあったんだけど、美容室はガザを表現していて、外で起きる出来事に反映して、室内で色々な出来事が起きていく、ようにしたらしい。このインタビューがなければわからないシーンもいくつかあったので、これ含めてよかったかな、と。

部屋からカメラが一歩も外から出ることがない作品だから退屈だったけど、面白かったです。興味深い、という意味でね。あまり映画を見ない人には勧められない作品ではあったけど。

■現在

今は水たばこを吸っている。好きなんだけど、タバコも一カ月に1箱なくなればいいくらいのペースでしか吸わないし、水たばこもすぐにクラクラしてしまうので、体質に合わないんだろうな、と思う。ちなみに、お酒も大好きだけれど、すぐに酔っぱらって記憶をなくすし翌日すぐに吐き戻すので、体質に合わないんだろうな、と思っている。思っては、いる。背が高いからなのか、すぐ脳に血が回らなくなるんだよな。

■隙間

先週まで仕事と締め切りの迫っている原稿に追われ、かなり忙しかったんだけれど、今は落ち着いている。16日は海の日でお休みなんだってね、知らなかった。
何をしよう、何か休日にできないことがしたい、と思うも、映画を見るとか家でクーラーをガンガンにつけて本を読むとか、そういうありきたりなことしか思いつかない。
何をしようか、と考えたとき「人を誘ってどこかに出かける」という選択肢がはじめから私にはない。これくらいの年齢になると自分の人生がどのようになってくのか、なんとなくわかると思うんだけど、多分結婚もできないだろうし、子どもも育てられそうにないし、こうやって今みたいに自分のためにだけ使える時間をその場しのぎで埋めていって、そのうち年を取り、長期的な幸福のようなものを得ることもなく、後悔をしたりでも強く肯定してみたりして生きていくのかな、と思うと少し怖いな、と思う。

■人からの見え方

「この本を読んで、今の自分でいいと思えた」「同じようなコンプレックスを持っていたけど、少し楽になった」と何人から言われることがあって、私が本を作るにあたって、伝えたいことのひとつだった。私は、こういう風に感想をくれる人たちがどんな人なのか、どう生きてきたのか、何が好きで、毎日どんなことを考えているのか、何も知らない。でも、文章には決してしていないのに伝わっていることがとてもうれしかった。いつも本を読む人が私の文章に何か感情を持ってくれるのも、普段まったく本を読まない人がゆっくり時間をかけて読んでくれるのも、同じくらいありがたいことだと思っている。
私は自分の文章にも自信がない。特にゲラを読んで修正しているときも「こんなものを世に出してしまって、大丈夫なんだろうか……?」という不安がずっとあった。今もある。けど、こうして感想をもらったりエゴサーチしたときに色々な意見を見ていると、本当に自分の人生が丸ごと救われたような、自分のことを少しだけ肯定してもいいような気持ちになる。本当にどうもありがとうございます。

友達も、わざわざ大きな本屋さんで買ってくれたりわざわざAmazonで取り寄せてくれたり。それから感想をくれたりしていて。「友達だから」とか「知り合いだから」というだけじゃなくて、私の文章を何かで読んでいて買ってくれたとか、「この人が出すんだから!」と思って買ってくれたんだと思うと、泣きそうになっちゃうなあ~……。私は結構いろいろな面が欠落した人間で「しょうがないなあ」と思われているし、多分そうなんだろうけど、人間性は別にして、ちゃんと形になったものを評価してくれていて、なんだかいつもすみません、という気持ち。しかも、別に仲がいいとかじゃなくて年に2回会えばいいくらいの人がわざわざ感想をくれたりとかしている……ヤーヤーヤー。

 

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これは可愛いネコです。

 

明日は、上司に誘われて、なぜか上司と上司の高校の同級生と、上司の元取引先の人と飲み会です。謎……。